平成二十九年 五番山笠 土居流 標題「決戦大江山」 人形師 中村弘峰

題材は源頼光の大江山酒呑童子退治の物語。

博多祇園山笠土居流の人形制作を21年間務めた中村信喬は還暦を節目に※舁き山人形制作から身を引き、平成二十九年より4代目弘峰に任せた。

當番町の西方寺前町は人形師に人形の題材選びなど全てを一任。その結果、人形師の設定したテーマに即して人形、扇子、手拭い等が統一的にデザインされることが可能になった。

そのテーマとは「一致団結」。伝説では源頼光は頼光四天王らとともに力を合わせて激闘の末、酒呑童子討伐に成功する。これはまさに一人ではどうにもならない大きな障害に対し、それぞれの力を合わせて挑む物語である。

山笠は到底一人では動かせない。人が「一致団結」して初めて前に進み出す。平成二十九年の土居流は山笠を通して多くの人々にシンプルかつ重要なメッセージを届けていた。

 

※天神一丁目流飾り山表、中洲流飾り山見送りの人形飾りは中村信喬が制作しています。

 


扇子、手拭い、舁き山それぞれのデザインには大江山の鬼退治物語の時間の流れが表現されている。

扇子で童子が恐ろしい鬼へと変貌するところを見せ、手拭いで決戦の場面を描き、舁き山では激闘の末に酒呑童子討伐に成功し頼光が勝どきを上げている。

平成二十九年土居流 扇子

平成二十九年土居流 手拭い

舁き山 決戦大江山 下絵


Photo Gallery

Photo: Kazuo Matsumoto


Movies

#1 メイキングビデオ

舁き山の制作過程を追ったメイキングビデオ。

最初はただの素材たちが人形師の手によって御神体の依り代へと変貌していく様子を収めた。

Music: Geoffrey Wolfson/ Grave of Musashi  武蔵の墓

#2 いよいよ山が動き出す

10日流れ舁きで動き始めた山笠。命が吹き込まれたように生き生きと博多の町を駆け巡る。

終盤に中村人形五代目の桃伯登場。

Music: Geoffrey Wolfson/ Karateka  空手家

#3 追い山、そしてフィナーレ

 

東町筋にて中洲流、西流と続き、土居流が駆け抜ける。台上がりは中村信喬。大博通りは弘峰が務める。5kmの全コースを走りきったのち土居流総務宅前にて「祝いめでた」、山解き、台送りまでを収めた貴重な映像。

Movie: Kazuo Matsumoto